
:
小高い丘の上にぽつんと姿を現した校舎は
どこか遠い記憶を呼び覚ます.
:
赤茶色の屋根は夕陽を吸い込みながら
なおも土の匂いを纏っている.
それは新しいのに
なぜか昔からそこにあったような佇まいで
風の通り道をよく知っている.
:
深く張り出した軒は雨をしのぐばかりではない.
ひとつの時間を抱える場所として
子どもたちの声や沈黙をそっと包みこむ.
小さな空間が大きく息づいているのは
そこに「余白」があるからだ.
:
建築が人の営みを待っている.
そんな気配がもう漂っている.

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小高い丘の上にぽつんと姿を現した校舎は
どこか遠い記憶を呼び覚ます.
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赤茶色の屋根は夕陽を吸い込みながら
なおも土の匂いを纏っている.
それは新しいのに
なぜか昔からそこにあったような佇まいで
風の通り道をよく知っている.
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深く張り出した軒は雨をしのぐばかりではない.
ひとつの時間を抱える場所として
子どもたちの声や沈黙をそっと包みこむ.
小さな空間が大きく息づいているのは
そこに「余白」があるからだ.
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建築が人の営みを待っている.
そんな気配がもう漂っている.

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十五坪の宿の長屋計画
小さな、実に小さな空間である
:
だけど人は狭さを憂うばかりではなく
その狭さにこそ心の自由を見出すこともある
:
ここは生口島の島の中腹
瀬戸内の静けさに包まれ
時に忘れられたかのようなところである
:
この地はかつて海の道を見張る者たちの拠点だった
村上水軍、ただの海賊ではない
秩序と混沌のあいだで海の暮らしを守り続けた者たち
その眼差しが注がれた瀬戸内の島々が今静かに佇んでいる
:
多島美とはよく言ったものだ
島と島とが折り重なり海と空の境界がほどけていく
その風景にかつての文人も旅人も
そして今を生きる我々もまた
心を奪われずにはいられない
:
蕪村も子規も詠んだこの海
「海と空 わけても青し 瀬戸の春」
:
言葉は時を越え
風景と交差し
この宿の窓辺にも静かに降りてくる
:
十五坪の暮らしは喧騒を離れた贅沢であり
風と光の遊び場である
瀬戸の島影とともに暮らす
そんな時間がここには確かに息づいている
:


石を根とする大黒柱は真ん中に鎮座し
八角形の空間へと枝を広げる
:
屋根の架構は麻の葉
:
その文様は強靭にしてしなやかで
生命の力が編まれたかたち
:
その包まれた空間のなかで
子どもたちは息づき伸びていく

夏がやってくる前に
もうそろそろ目を覚まそうかと。
気持ちを整理していくには綴っていった方が
多分いいのだと思います。
太平洋を前に計画中です。

先日の「藍住の平屋」のオープンハウス、
遠いところ沢山のご来場、
ありがとうございました。
住宅に対する想いは様々です。
住まうことに何が正しいか、正しくないか
答えは見つからない。
正解ばかりが求められる昨今
ここに住むおおらかな息づかいが
感じられる場所になりました。

建築すること。
泣き、笑い、とまどう。
時々刻々の変化とともに、
自分自身が触発され、
新たな発見をする。
「建築すること」は楽しさを発掘すること。
それを改めて教えてくれた現場でした。