「良い音楽、自分たちが好きな音楽が売れるわけではない。
ただ、良い音楽は必ず残っていくと信じている。」
誰かが言っていた言葉を思い出すたびに
さわやかな気持ちにさせてくれる。
ただ、プロとしてものをつくるとき、
誰もがぶつかるジレンマなのだろう。
修練を積んだ専門家と
大衆の好みが一致することはまれだ。
建築においてもそれに似た状況に
出くわすことがあるが、
建築は一方通行に発信するものではない。
施主がいて、設計者がいる。
施工者もいる。
公共性をもつ。
それらのコミュニケーションのなかでつくられる。
混沌とした要望や関係の中で、
秩序ある社会や思いの中でつくられる。
日本人というのは
混沌と秩序の中間をうまく探し出すのが
好きなのだろうか、、、
あまり完璧だといけないと言って
傘を忘れた左甚五郎を尊ぶ精神が
どこかにあるのだろうか、、、
有限の世界にいることを悟った
古代ギリシャの人たちのように、
無限なんて望まないほうが
いいのではないか、、、
仕事納めの日に
今春お引渡したお家にお伺いした。
突然の訪問に驚き、
久しぶりの再会に喜び
時間を忘れて暗くなるまで
たくさんお話が出来た。
生活を始めてからいろいろな気持ちを聞くことが出来た。
設計打ち合わせでは考えていなかったこと、
意図してなかったこと、
あえて完璧さを求めず作ってきた場所で
新しい生活を作り、楽しみ、
出会いを大切にし、
たくさんの人に愛されている。
今年は特に設計すること建築することを
改めて考えさせられることが多かっただけに、
年末最後の訪問は
僕にとって、スタッフにとって
この仕事をやってきて良かったと
再確認出来た時間だった。
建築は雨風をしのぐためだけのシェルターではない。
とくに住宅の設計においては。
建築をつくることの真理を、
概念の上ではなく
現実の経験として感じることが出来る。
クライアントと出会い、計画が始まって
途中お互いを疑うこともなく、
信頼関係の中での
3年越しの完成だったから感じたのかもしれない。
来年は看板ネコ「スコちゃん」が待つ
「HOBAL BAGEL」へOPEN1時間前に来て
並んでいる人とのコミュニケーションを大切にしながら
クライアントがつくるベーグルを
買って食べることを楽しみに
今年を締めくくります。
それではみなさん
良いお年をお過ごしください。
突然の訪問、
抜き打ち検査に快く対応してくださったOさん
ありがとうございました。
月別アーカイブ: 2017年12月
優しさとはかなさと
ある世界ではミステリアスで
寓話的で美しく見え、
またある世界では
全然楽しげでもないし、
人々は疲れ果てながらも、
未来生活を振る舞おうと
しているように見える。
薄い皮をめくると
一気に涙が溢れ出るような、
絶望ギリギリの
精神状態のような緊張感。
そんな中スーパーヒーローは
いつも強く優しく
前向きでいなくちゃいけないけれど、
その実、
はかなさともろさと表裏一体で
それは相容れないが共存している。
前を向き合い、
膝を突き合わせることから
始まるのかもしれない。
「鳴門の家」の掘りごたつの中から
建築の理解度
やるべきこと
10月から始まった展覧会と
30年を節目に行った
師匠の建築展が終わり、
落ち着くはずの年末は
ドタバタの毎日。
やりたい事、
やらねばならぬ事は沢山あるのに
出来ていることはあまりに少ない。
まずは事務所の屋上に上がって
やるべき水をやる。