人間が生み出した今日の文明のあらゆる問題は、
何れにしても自然を改造しているところにある。
人間にとって有利なように切り替えている。
それはどうしても不自然ということを伴っている。
しかし自然は大変に寛容だから
少しくらいの不自然はゆるしてくれるだろうと、
スタッフと事務所の植物たちの居場所を変えててみた。
人間のエゴかもしれないけど、、、
月別アーカイブ: 2017年4月
お天道さまと、、、
「味野の家」引渡し
認められるかどうかはともかく
なぜ僕がこの場所で
建築の仕事をしているかといえば
まずこの仕事が好きだから、
つくることが好きだから、
という理由に勝るものはないと思っています。
行動を支えるものは評価されるためではなく、
好奇心だと思います。
「これからここで生活するのを想像するだけでワクワクします。」
味野の家のクライアントの言葉はシンプルで
想像や好奇心から行動へ移すことが
大事であることを再確認出来た言葉で、
それが建築の役割でもあるのだと思いました。
自分の携わるものに生命力を持って取り組み、
結果的に良いものが出来れば
あとは、お天道さまと米のメシはついて回るでしょう。
変身の術
「岩盤が眠り、くの字に折れ曲がるスキップフロアの家」棟上げ
工場で仮組された骨格が
現場で再度組まれていく。
棟上げが終わるころは
折れ曲がった先から夕陽が差し込む。
「4台分のガレージがある家」棟上げ
丸太梁に包まれ、
想像以上に大きい骨格。
壁と窓は人間関係の物質化に他ならない。
その関係の矛盾する要求を解決するために何かを施す。
これがうまく解決された時、
それを美しいと呼ぶのだろう。
太陽がよく当たるところと、
日陰が欲しいところとの関係にも
あてはまるだろう。
必ずしも壁や窓でなくても
庇があるとかないとかでもそうである。
生活とは矛盾の克服だと思う。
その場所が暖かくあってほしいと願い、
また涼しくなってくれと、矛盾した要求を出し
それを一つの装置でまかなおうというのが
建築の課題といえる。
その一方で何か一つの答えを出そうとするから
いつも具合が悪くなるので、
変身の術を心得ることが出来れば、
もっと解きほぐす仕事が出来るのだろうけどね、、、
好きか嫌いかというよりも
建築が好きか嫌いかと言うより
やらずにいられないか、
やらざるを得ないか
だと思う。
仕事をしていく上で、
問題は山積みしているけど、
それを乗り越えることに人々は喝采します。
満腹より空腹の時の方が食事はおいしい。
与えられた条件の中に
問題が山積みになっている方が
立ち向かう人間にとしては
意欲がますます湧いてきます。
設計図でも勉強しようと意欲がある図面、
とりあえず表面的に描いた
魂の抜けた図面は表れてきます。
それがやらずにはいられない図面と
やらざるを得ない図面の
違いなのでしょう。
建築は人間生活のあらゆるものに
関わりを持つものです。
こと建築に限らず
ものをつくる喜びを感じれば
それが励みになり、
仕事にも精が出るでしょう。
上の写真
「シンプルなプランにシンプルな片流れの屋根の家」
大きな片流れの屋根が包み込み
棟上げと同時に配線工事が始まる。
垂木を見せるデザインは
シンプルに見えて工程は複雑。
「4台分のガレージがある家」
棟上げの時に
やっと大きさを感じるのがほとんどだけど
基礎の段階ですでに迫力がある。
大きすぎて全体が撮れなかった。
「17坪+屋根裏の家」
足場が撤去され
青い空に青い屋根が溶け込む。
「3方囲まれたコの字の家」
離れのような和室を土壁でつなぐ。
「岩盤が眠るくの字の家」
地面の下にはいろいろな土が堆積している。
調査したりすると、
それが分かっておもしろい。
建築の支持層としては
当然沈下しない密実な土が良い。
しかしここは密実どころではない。
地層の中の岩盤が目を覚まし、
一触即発が心地よい緊張状態を生み
力強ささえ感じる。