
「草屋根の家」の地鎮祭。
祭壇に供えられたお供え物の品々は
色鮮やかで豊富、
そしてデフォルメされたものに囲まれる。
当初、屋根に草を植えるつもりはなかった。
シンプルに無駄なく
素直な家にするつもりだった。
それは限られた予算があったから。
「へんなことはしませんから。」
と安心させようとしたら、施主は
「少しくらいなら。お任せします。」
この一言が運命の分かれ道。
とにかく施主と設計者が
あれこれイメージをふくらませているうちに
屋根の上に上がりたいという、
施主の欲望までもが溢れかえっていた。
屋根の上に草を植えることを通告した時も
施主に動揺は見えなかった。
「じゃあ壁は土壁で。」
と施主から提案してくるくらい
楽しみながら今は時を待っている。