「高松町の家」
生まれながらの指導者なんているわけでもないが、
どう考えても社長や会長といった言葉は
ふさわしくない人物がいるものだ。
いわゆる職人たちはなかなかまとまりにくい連中である。
それぞれが手に職を持っているから自主独立の気概がある。
勤め人たち宮仕えたちとは反対に群れたがらない。
だからこそ「親方」というのはそれなりの風格と貫禄を持っている。
そりゃそうだろう。
とかく群れたがらない職人たちをまとめていこうというのだから、
余程の気力と器が必要になる。
そんな人がいたらお目にかかりたいものだ、
でも現代にはいないだろうなと思ってたけど、いた。
丸亀市の左官職人秦さんの紹介でお会い出来た。
まさに「現代の職人たちのドン」
と呼ぶにふさわしい人物であってほかの何者でもない。
淡路島の左官職人 植田俊彦さんである。
建築の工業化により左官職はうとんじられ
ジリジリと後退につぐ後退を続けてきた。
そんな中、若い職人たちを引き連れ
古いやり方も残し、新しいやり方も時代にあわせながら
楽しみながらやっている後ろ姿に左官職の未来を感じた。