かりそめ」カテゴリーアーカイブ

生者必滅

 
古い建物が混在したこの場所で、
残されるものと取り壊されるもの。
 
 
生者必滅が自然の法則なら、
建築もまた生けるものとして、
必ず死する時がある。
 
人間の世界では次々と世代に受け継がれて、
歴史が彩られてゆくように、
建築物もまた人間の延長として
次々と完成されては誕生し、
活躍して死滅していく。
 
あるいは死滅というよりは
転生していくと言った方が
良いのかもしれない。
 
建築計画はこのような建築の輪廻を想いつつ
とくに設計を中心にして、
新しい建築を生み出していく過程にほかならない。
 
仏式の地鎮祭の中、御焼香を終えて思った。
 
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生活の場

 
人と人との関係は
多くは利害関係で
結び合っているのかもしれない。
 
しかしその利害関係も
物質的なものから
次第に精神的なものへと
発展しようとしている。
 
裸の人間になったとき、
どれだけ利害が違うであろうか、、、
 
小さな仕事も大きな仕事も
本来の姿に帰った人どうしでつくるものは
これからの家づくりの理想である。
 
 
そして建築が生活の場として
つくられるとするならば、
建築の価値判定の尺度は
生活そのものにあり
生活の場とはどういうものであろうか、、、
を考えさせられる。
 

謎の飛行物体

 
天地をつなぐ飛行物体。
地上から数十メートル浮上し回旋する。
 
 
複雑なこの世の現象を解いてくれる
一つの鍵を発見した時の喜びのようなもの。
 
驚きというものは一致しているのかもしれない。
 
誰かだけが覗き見たものではない。
 
みんながそれを覗き見る。
「オイ見ろよ。この素晴らしい世界を!」
 
 
岡山では放送されないと思いますが
6月23日毎日放送の「住人十色」で
「草屋根の家」が放送されます。
 
0527-住人十色...4

愛される家

 
毎日の生活の中で、
機能的で便利なことが
必要だと信じる人がいれば、
遊び心を持ったり
夢を見ることを忘れたら
人間はおしまいだと考える人もいる。
 
 
威厳を保って堂々たることが
世の中から認識してもらえる術だと
思っている人もいれば、
実力さえあれば、
ボロを纏っていたってよいではないか
という人もいる。
 
これは人それぞれの性格であり個性である。
 
各々自由を行使したために、
周囲の人が顔をしかめ、
鼻をつままねばならないことのないように心がけたい。
 
多くの人々にも、
自分が楽しんだと同じだけ
楽しくなる家が
ますます出来そうである。
 
0516-タコス...4
 
0516-88...4
 
0525-屋島

ものさし

 
美か醜か、
便か不便か、
堅いか脆いかなどを問わず
人間の手が入って生み出された一切の姿を
造形として取り上げるところから
再出発してみよう。
 
 
「美醜」「本末」「善悪」「功罪」
といった評価をあげたところで、
いずれも何らかの価値観によって
一方を好ましいもの
他方を好ましくないものと判定する。
 
ただ建築の設計の上で、
予算的なこと、力学的なこと
施工上のことなどはいいけど
もはや使い勝手とか、
らしさだとか、
さらに造形や色彩などとなると、
主観的なものがかなり入って、
好き嫌いがものさしとなる。

原初の海

 
波間すれすれを浮遊していた。
 
それは魂が母胎にとらえられる
故郷の瀬戸内海を
彷徨している追憶なのか、
父母来生以前の原初の海を
泳いでいたような記憶なのかはわからない。
 
もしかしたらそれが波間でなく38度線なのかもしれない。
 
 
心が楽しい時、
すべてのものは美しく
生き生きとして感じる。
 
嫌なことがあっても
それを克服する道が見えてくる。
 
楽しそうにしていると
周囲の人までついつられて
愉快にならずにいられない。
 
 
もうろう状態からそんな記憶や感情を
徐々に呼び戻すため、
事務所の近くにある植物を見に行った。

窓辺の場所

 
「窓辺の場所」という言葉を
本を読んでいて見つけた。
 
何か素敵な響きの言葉に思えた。
 
卑近な例えだけど、
季節が秋から冬に、
冬から春にかわる頃などは
窓辺でゴロゴロしたくなる。
 
西に向いた窓から見える遠い景色を見ながら
何が大切かという根源的な問いを
忘れないようにしたい。
 
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複雑に絡み合った足場とデッキの骨組み

オープンデスクデシタ

 
いささか学生としては時の積み重ねを
肩に背負い過ぎていたようにも思う。
 
流されずによく考えているからこそ、
もう少し自分の道を考えても
いいんじゃないかという、
我ながら妙な情動が湧いてくる。
 
他人の人生に踏み入って、
その敷かれたレールを
切り換えるデザイン程
難しいことはない。
 
だから自分でデザインするしかない。

満たすことの難しさ

 
事務所の近くの散り始めた夜桜
 
 
生きていくことは大変なことだ。
 
「世事わが事に非ず」に
徹底して生きられるためには、
よほどの楽観が必要である。
 
しかしなかなかそれが出来ないから
悩むのかもしれない。
 
 
人々が多様化、情報化の方向をとっているときは、
一人ひとりが何にこだわっているのかを知るだけでも大変な上に、
仮にそれがわかっても、
それを満足させる方法を見つけるのに苦労し、
またやっとそれを見つけたとしても
果たしてその人がその場にいてくれないかもしれず、
その他の矛盾した欲望の人の方が来てしまうかもしれず、
それを全部満たすことの難しさを感じる。
 
 
「年々や桜を肥やす花の塵」芭蕉

裏返しのファサード

 
事務所のコーデックスが芽吹き、
長く続いた暗黒の冬も終わり、
事務所も春の陽気、
晴れ晴れとした空気に包まれる。
 
 
粗相このうえない僕にとって
下着や靴下、
はてはセーターを裏返しに着服して
人と会って平然と装っているのは常のことだけど、
このところ人の心の裏返しに出会うことがある。
 
自分なのか他人なのか
行動なのか言葉なのか
モノなのかカネなのかは確信できたけど、
いつか誰かは街路の乞食になりはてる、
そんなジャン・バルジャン的夢想も
一興というもの。