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待つこととしての建築

静かな正月の朝.

まだ人の少ない街を歩きながら

岡山城の脇を通りました

あらためて見るととても静かで

どこか人を急かさない佇まいをしています.

岡山城はよく見ると

きれいな正五角形ではなく

わずかに歪んだ「不等辺五角形」の平面をしています.

完全なかたちではないこと.

けれどその不均衡が土地に合わせ

時代を受け止め

長い時間を生き延びてきた

証のようにも感じられました.

建築という仕事は「つくる」こと以上に

「待つ」ことなのかもしれない.

そんなことを城の石垣を眺めながら思いました.

光が入るのを待ち

風が抜けるのを待ち

人がその場所に

自分の時間を重ねていくのを待つ.

建築は完成した瞬間よりも

その後に始まる時間の方がずっと長い.

だからこそ時間と共に育つ余白を

あらかじめそっと残しておくことが

大切なのだと思います.

昨年も多くのご縁の中で

土地に立ち

建物に触れ

住まい手の

まだ言葉にならない想いと

向き合う時間をいただきました.

心より感謝申し上げます.

整いすぎないこと.

少しの不完全さを許すこと.

使い込まれ

手が触れ

時間が染み込んで

はじめて立ち上がる美しさがあること.

不等辺五角形の岡山城のように

その場所に合わせ

人に合わせ

時間に委ねながら

静かに在り続ける建築を.

これからも建築を「完成品」とは考えず

人と時間に開かれた未完の器として

一つひとつの仕事に丁寧に向き合っていきます.

本年もどうぞよろしくお願いいたします.