ケンチクノコト」カテゴリーアーカイブ

日本酒のお店と家と

瀬戸内に浮かぶ島の光はやわらかく

それでいてどこか鋭い.

その光の中にちいさな集落が息づいている.

三方を細い道に囲まれた土地に

これから一つの家を建てる.

家といっても、単なる住まいではない.

日本酒をふるまい

器を売り

人の行き交う場所だ.

豪奢なものではなく瀬戸内の海風に吹かれながら

島の土と話し合うような

そんな家だ.

玄関はひとつの物語になるだろう.

ただの出入り口ではない.

奥へ奥へと、心を運ぶ通り道.

道に開き

島に開き

人に開く

奥行きのある場所.

外から中へ、中から奥へ.

玄関はそんなふうに

あいまいにふくらんでいく.

道に面して三方を開く.

そこにはきっと島の人や

この島に訪れた人たちが腰掛けるだろう.

酒を傾け、器を手に取り、語らうだろう.

海から渡る風と、島にしみこんだ記憶と.

すべてがこの場所に、少しずつ滲み出していく.

小高い丘の小さな学校

小高い丘の上にぽつんと姿を現した校舎は

どこか遠い記憶を呼び覚ます.

赤茶色の屋根は夕陽を吸い込みながら

なおも土の匂いを纏っている.

それは新しいのに

なぜか昔からそこにあったような佇まいで

風の通り道をよく知っている.

深く張り出した軒は雨をしのぐばかりではない.

ひとつの時間を抱える場所として

子どもたちの声や沈黙をそっと包みこむ.

小さな空間が大きく息づいているのは

そこに「余白」があるからだ.

建築が人の営みを待っている.

そんな気配がもう漂っている.

多島美

十五坪の宿の長屋計画

小さな、実に小さな空間である

だけど人は狭さを憂うばかりではなく

その狭さにこそ心の自由を見出すこともある

ここは生口島の島の中腹

瀬戸内の静けさに包まれ

時に忘れられたかのようなところである

この地はかつて海の道を見張る者たちの拠点だった

村上水軍、ただの海賊ではない

秩序と混沌のあいだで海の暮らしを守り続けた者たち

その眼差しが注がれた瀬戸内の島々が今静かに佇んでいる

多島美とはよく言ったものだ

島と島とが折り重なり海と空の境界がほどけていく

その風景にかつての文人も旅人も

そして今を生きる我々もまた

心を奪われずにはいられない

蕪村も子規も詠んだこの海

「海と空 わけても青し 瀬戸の春」

言葉は時を越え

風景と交差し

この宿の窓辺にも静かに降りてくる

十五坪の暮らしは喧騒を離れた贅沢であり

風と光の遊び場である

瀬戸の島影とともに暮らす

そんな時間がここには確かに息づいている

小さな学校の棟上げ

石を根とする大黒柱は真ん中に鎮座し

八角形の空間へと枝を広げる

屋根の架構は麻の葉

その文様は強靭にしてしなやかで

生命の力が編まれたかたち

その包まれた空間のなかで

子どもたちは息づき伸びていく

「中村岩崎の家」オープンハウス

 
このたび高知県四万十市で
設計監理を進めてまいりました
「中村岩崎の家」が竣工します。
 
お施主様のご厚意により
12月17日(土)、18(日)にオープンハウスを
開催させていただける運びとなりましたので
ご案内申し上げます。
 
お時間が許すようでしたらぜひお越しください。
 
混雑を避ける為、安心してご見学頂けるよう
予約制とさせていただいております。
 
ご予約は下記QRコードにて
お問い合わせください。
 
詳しい場所につきましては
ご予約フォーム送信後に送られる
確認メールでお知らせします。
 
 
§
 
 
四万十川の水面が揺らぎ
赤鉄橋が見守り
それらの景色と過ごす、
スキップフロアの小さな家。
 
221130-DM最終

棟上げ~変形地

 

敷地を読むという表現をすることがあります。

敷地にも文脈があり

それを読み解いたりします。

廻りの環境や背景などそこに居続けることで

少しづつ見えてくる情報があります。

 

背景の蔵を取り込みました。

 

日光東照宮

 
日光東照宮の造営にかり集められた
職人集団の表現技術とエネルギーが、
唐様の建築を装飾として食い尽くし
同時に樹木、雲、そして花などの
アニミズムの精霊が
建築を情報のヴェールで
覆い尽くそうとしている。
 
贅を尽くしたこの建物は
「存在」を確かめ得るように、
これこそ純粋芸術としての建築と
空間表現に関する主張なのでしょう。
 
日光東照宮02
 
日光東照宮01

春眠不覚暁

夏がやってくる前に
もうそろそろ目を覚まそうかと。

気持ちを整理していくには綴っていった方が
多分いいのだと思います。

太平洋を前に計画中です。

お礼

先日の「藍住の平屋」のオープンハウス、
遠いところ沢山のご来場、
ありがとうございました。

住宅に対する想いは様々です。

住まうことに何が正しいか、正しくないか
答えは見つからない。

正解ばかりが求められる昨今
ここに住むおおらかな息づかいが
感じられる場所になりました。

「藍住の家」オープンハウス

このたび徳島県藍住町で
設計監理を進めてまいりました
「藍住の家」が竣工します。
 
クライアントのご厚意により
6月4日(土)5日(日)に
オープンハウスを行います。
 
ドタバタでの案内になってしまいました。
もし時間が許すようでしたら
下記、TEL・メールにて
お問い合わせください。
 
現地の場所については
ご連絡いただきました方に
こちらからご案内いたします。
 
TEL:090-2298-1902
Email:iofo@k-tenk.com

0531-藍住の家 DM