堆積する時間の中で

一年の終わりは

建築にとって「区切り」というより

静かに堆積した時間を見つめ直す季節のように思います.

現場で交わした何気ない会話

図面の線を一本引き直した夜

光が思ったより深く差し込んだ朝.

そうした一つひとつが

建築の輪郭を少しずつ確かにしていきました.

建築は完成した瞬間だけが答えではなく

むしろ迷い立ち止まり

選ばなかった道も含めて

その建物の「時間」になるものだと感じています.

今年もまた土地に耳を澄まし

人の暮らしの速度に合わせて

無理のない形を探し続けた一年でした.

整えすぎず

語りすぎず

それでも確かに息づく空間を目指して.

関わってくださった施主の方々

職人の皆さん

同じ現場に立ってくれたすべての人に

心から感謝いたします.

年が改まれば

また新しい条件

新しい風土

新しい対話が待っています.

急がず焦らず

建築が自然に立ち上がる瞬間を信じて

来年も一つひとつ積み重ねていきたいと思います.

本年もありがとうございました.

どうぞ穏やかな年の瀬をお過ごしください.

雪に包まれた記憶.

2月の白川郷にて.

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