方形の洞へ

正方形の空間を少しずつ角度を変えて重ねてゆく.

ずれは奥行きとなり、隙間はひらきとなる.

それは構成ではなく掘り進める行為に近い.

まるで地層を削るように空間が奥へと続いてゆく.

正方形という静かなかたちは

角度を持つことで動き出す.

内へさらに内へ.

やがて光は断片となって届き

音は壁に反響しながら沈黙と対話する.

建築はただの器ではない.

そこは時と身体が沈み込む現代の洞穴である.

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *