総社の家

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「光の方形」
 
与えられた土地の中から何とか希望の宝を探し出して生かすことにより、失ったと思ったものを代償して与えられるという解決しかないのだろか、、、
またそこが設計のミソというものだろうか、、、
郊外にあるこの場所は古い家と新しい家が混在し区画整理されている敷地である。敷地内に与えられた場所は、母屋の南側の東西に広がる場所。東側には道路が走り、西には古い家が立ち並び、南は近い将来必ず住宅が建つであろう条件の中での計画であった。東西に長い言わばうなぎの寝床を宝とし、東から西まで見渡せるプランとした。低く抑えられたヴォリュームは、母屋に光を与えるだけでなく家の中と母屋と街が離れすぎない距離感も確保した。それは建物からだけでなく母屋との間の共有のアプローチにも素材や形に変化をつけ重なり合う場所にした。敷地の広さを考慮し、敷地いっぱいに生活空間を括るための輪郭線を描き、東西に伸びた領域に内部と外部を散在させると明るく風通しの良い空間が生まれた。内部と外部が絡み合いながら水平方向に伸びる空間に対しリビングだけ一瞬包み込む。そう感じさせるのはガラスのハイサイド窓により屋根を浮かせ、天井の垂木を扇状に掛けることにより場所の高さに変化をつけながら抜けとたまりを同時に設けた。生活が環境の移ろいに敏感になり自然と意識は外へと向かう。建築はそのための静かな骨格であればいい。晴れの日、庇や目隠しの壁、中庭の木々は部屋の内部に影を落とし、内外の明度差を和らげ周りの視線から守られているがゆえに、内と外の境界をぼかす。家の広がりの中に明るさや静けさやつながりの濃淡が分布しているが、個人の占有場所はそこまで明確ではない。家全体が自分の身の回りになればと思っている。
 
 
所在地:岡山県総社市
竣工:2016年12月
用途:専用住宅
構造:木造平屋建
敷地面積:206.38㎡
建築面積:110.13㎡
延床面積:94.54㎡
写真:Nacasa&Partners 藤井浩司