地鎮祭~高台に低く建てる

 

高台に立つと風の流れが先にわかる.

地盤の高低差

遠くの山並み

空の高さ.

その場所には

すでにひとつの秩序があって

建築はそれを乱さずに加わる必要がある.

 

昨日その高台で平屋の家の地鎮祭を行った.

まだ何も建っていない更地に

四隅を示す竹が立ち

白い紙垂が風に揺れる.

儀式のあいだ

土地は静かに人を受け入れているように見えた.

 

平屋という形式は風景に対して謙虚だ.

高さで主張せず

地面との距離を丁寧に測りながら

暮らしの重心を低く保つ.

だからこそ

その敷地のわずかな高低差や

光の入り方が

そのまま住まいの質になる.

 

高台では

眺めを取り込むことよりも

どこで切り取るかのほうが大切になる.

遠くまで見えるからこそ

窓は景色を全部見せるためではなく

必要な奥行きだけを残すためにある.

 

地鎮祭は

工事の安全を祈る儀式であると同時に

これから始まる時間に

ひとつの節目を与える行為でもある.

 

土地に手を入れる前にいちど立ち止まり

ここに何を置き

何を残すかを確かめる.

 

家づくりは図面の中で進んでいるようでいて

本当はこうした静かな確認の

積み重ねでできていく.

 

この場所では

空の広さに負けないように

けれど大きく見せようとはせず

静かに輪郭をつくる家になると思う.

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