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小高い丘の上にぽつんと姿を現した校舎は
どこか遠い記憶を呼び覚ます.
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赤茶色の屋根は夕陽を吸い込みながら
なおも土の匂いを纏っている.
それは新しいのに
なぜか昔からそこにあったような佇まいで
風の通り道をよく知っている.
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深く張り出した軒は雨をしのぐばかりではない.
ひとつの時間を抱える場所として
子どもたちの声や沈黙をそっと包みこむ.
小さな空間が大きく息づいているのは
そこに「余白」があるからだ.
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建築が人の営みを待っている.
そんな気配がもう漂っている.