多肥の家

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ファサード

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中庭とリビングをつなぐ

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引き込み戸を開放させると中庭と一体になる

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リビング夕景

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中庭夕景

 

「内と外の間」

 

「プライベートな庭や家庭菜園が出来る庭のある平屋の家が欲しい。」という思いから土地探しが始まりました。かつては田園地帯だったこの地は散村状に民家が点在していましたが、ここ数十年のあいだで区画整理が行われ、高松市中心部のベッドタウンとして人口が急増した場所でもあります。
110坪の変形した敷地に沿って配置した平屋建てのプランは、どの部屋からも見ることが出来るプライベートな内庭と、外に開かれたパブリックな庭と、家庭菜園が出来る庭という3つの性格を持つ庭と建物とが折り重なるように敷地全体をゾーニングしました。
人も住まいも永く付き合うためには、距離感が大切だと思います。
その距離を計るために内庭のような場所を通して、向こうの部屋にいる家族の気配を感じることができるでしょう。また内庭に対して開かれたこの家はプライバシーを守りながらも、外との距離を計るために内庭を通して街の気配を感じることが出来るでしょう。
家は街の中にコミュニティーを創る場所でもあると思います。簡単ではないと思いますが、プライバシーを確保しながら家が街に対して開かれたものにもしていかなければならないとも思っています。圧迫感を与えないよう建物のボリュームは低く抑えられたり、なだらかな築山に植栽を植えたり、プライバシーを確保しながらも道行く人の目を楽しませるでしょう。そしてこの家が街に潤いや落ち着き、活気を与え、コミュニティーを創っていくきっかけになることを願っています。

 

所在地:香川県高松市
竣工:2012年4月
用途:専用住宅
構造:木造平屋建
敷地面積:363.85㎡
建築面積:144.48㎡
延床面積:123.12㎡
写真:野村和慎