月別アーカイブ: 2016年5月

素材でござい/自然素材

 
「草屋根の家」では壁や天井の下地に使うバラ板、
いわゆる隠れる部分に使われる荒い杉板を仕上にした。
 
出来る限り自然な素材で、、、
 
自然素材の良さは、
非均質性、偶然性、変化の妙にあって
そこから深い味わいが生まれてくる。
 
しかし実際には柱や板などは均質化されており
言ってしまえば
自然素材の皮を被った工業製品とも言える。
 
だからこの家は
「どこか懐かしい」とか
「気持ちいい」とか
「人は生まれながらにして自然を求めている!」
 
というような能天気な考えよりも、
 
楽観的とも思えるくらい
ギョッとするようなものが
出来るやもしれぬ。

 

「光と闇」

近代建築の志向性は、
住居が持っていた家の中の
「闇」の部分を、
意味のないもの
わけのわからないものとして否定し、
排除して来た感がある。
 
もともと森林のサルから
進化してきた人間にとっても、
闇は恐れおののく空間だったかもしれないが、
一方では外敵から身を隠すことの出来る
安全な空間でもあった。
 
 
考えてみれば、
光と闇があるように、
苦あれば楽ありで、
大きくたって小さくたって、
難工事であればあるほど
創作の喜びは大きいと思う。
 
千利休の茶室や鴨長明の方丈の庵の愉悦は
想像以上のものであったのかもしれないですよ。
 
もっと過激に言えば、
建築そのものが
脳を気持ちよくする快楽物質なのです。
 
建築をすれば誰でも気持ちよくなれる、
そうささやいてるんですよ、
 
きっと。
 
 
0507-02
 
上の写真は浴室。
最終的には土の中にいるような感じになればと思っている。
 
もう一枚は床材を仮置きしている写真。
大工さんもだんだん麻痺、
いえ楽しんでくれてる、と思う。

空間を分ける

空間を分ける要素として、
壁やガラス、建具といった物理的なものや
高低差や距離、配置などの空間的なもの、
色や素材、明るさなどの記号的なものなどがある。
 
一般的に「これくらいは必要なのではないか」とされる空間のサイズや
定番の素材から抜け出した空間には
快適性や意匠性以上のものが生まれる可能性がある。
 
 
草屋根の家では
フレキシブルであいまいな空間を求めていくと同時に
20坪の小さなヴォリュームから
新しいものが生まれるのではないかと期待が膨らむ。
 
 
0501-足場
上の写真は定番の素材から抜け出した足場板。
小さな家をたくさんの人の手を借りて
出来上がった証になるだろう。