モータリゼーション

翌日は大衆食堂の移転計画の打合せ。
 
学生のころが懐かしいなんて
甘言は通用しないし、
学生の街とは思えないくらい
この商店街の抱える問題は深刻である。
 
この町の商店街だけでなく、
僕が生まれ育った町の商店街もそうである。
 
 
 
モータリゼーションは
地方小都市の人の動きを
根拠のない形に変えてしまった。
 
その場所の歴史や文化とは関係なく
車は街を走り抜け
町の重心を変えてしまった。
 
商業の中心は移動し、
古い商業の中心は空洞化してゆく。
 
この話が舞い込んできた時には
この商店街を、この街を変えたいと考えた。
 
いささかヒロイックな気分になっていたことは
否めない。
 
いささかどころか、
スタッフと一緒に
肩をいからせていたかもしれない。
 
風塵舞い上がる街にブラリと出現して、
当たるを幸いなぎ倒し、
店主と共に悪いスーパーマーケットを
退治するなんて馬鹿げたことを、
全く考えてなかった
とは言えない。
 
実際、
この商店街がこの店の移転によって
変わるきっかけになったら
誇るだろうの思うくらいの、
そんな絶体絶命の商店街なのだ。

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